絶対領域
「俺らは、何も変わらない。双雷と神亀が敵同士になっても、俺らはずっとずーっと友達だ!」
一人一人を見渡しながら、笑う。
澄み切った漆黒の瞳で。
幼くも真っ直ぐな表情で。
満開に笑ってる。
私の大好きな笑顔。
「双雷と神亀……きっといいライバルになる。俺らが生じさせた亀裂が、2つの暴走族にとって唯一の繋がりになって、一緒に強くなっていくはずだよ」
もしかして、みーくんは、未来を見据えているのだろうか。
4代目の世代では完結させない、新たな関係を作ろうとしているのだとしたら。
なんて素敵で、胸の高鳴る始まりなんだろう。
茨の道かもしれない。
思い描く未来にはならないかもしれない。
それでも……ううん、だからこそ面白い。
「皆も気になるだろ?双雷と神亀、どっちが強いか」
「まあ、確かに……」
「族として本気で戦い合ったことねぇもんな」
真っ先にランちゃんとあず兄が反応した。
他の皆も基本負けず嫌いだからか、興味をくすぐられている。
「ユカには悪いけど、喧嘩したら神亀が勝っちゃうと思うな~」
「ぼ、僕たちのほうが強いよ……!」
ゆかりんにしては強気な反抗に、ゆーちゃんのドヤ顔が少し引きつった。