絶対領域
「でも……でも!俺は、俺らは、姉ちゃんを一人にしたくないんだ!」
「一人でどっか行こうとするな」
せーちゃんとあず兄の精一杯の叫びに、私は口角をニッと上げる。
私と皆の希望を叶えるには、ひとつしかないよね。
「うん、じゃあ、ついてきて」
「……え?」
想像していなかったのだろう。
皆、ぽかんとしている。
一人じゃなければ、いいんでしょ?
「一緒に行こ?」
これで、万事解決、じゃない?
笑顔で提案する私に、皆は呆然と固まってる。
「……ぷっ」
沈黙を断ち切ったのは、バンちゃんの笑い声だった。
「あははっ!なるほど。それなら問題ないね」
「でしょ?」
「目的地もわからねぇのに、一緒に行って大丈夫なのか?」
「しん兄、頭固すぎ!皆一緒だから、なんとかなるんでしょっ」
「……まあ、そういう考えもあるな」