絶対領域




……って、いけないいけない。

みーくんのかっこよさに惚けている場合じゃない。


これから用事があるんだった!



今日は久し振りに友達とランチをするんだ。


高校1年生の時の文化祭で、私に白鳥の衣装を作ってくれた、あの子と。



まさかこんなに長い付き合いになるとは、あの頃は全然予想していなかった。


友達がいないって悩んでたのが嘘みたい。



あの子のおかげで他にも友達ができたし、あの子とは親友になれた。



大好きな女友達だ。



親友と食事するんだもん。

おしゃれしなくちゃね。



お気に入りのワンピースを引っ張り出して、ネックレスも付ける。


薄くメイクをして、ミルクティー色の髪を巻いて、ほんの少し若作りしてみる。



最後に鏡の前で、変なところはないかしっかりチェック。



「……うん、いい感じ!」



今日は肌の調子もいいし、いつもより可愛く仕上がった。

やっぱり若作りって大事。



そうこうしているうちに時間が迫ってきていた。


小さめのカバンを肩にかけ、ヒールの付いたパンプスを履く。



一歩外に出ただけで太陽の元気さがわかってしまって、つい睨んでしまった。



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