絶対領域
走るスピードを、だんだん落としていく。
ある建物の前で、足を止めた。
「はぁ、はぁ……。こ、ここがゴールなのぉ?」
「こんなところに洋館があったんだ……」
呼吸を整えるゆーちゃんの隣で、せーちゃんが目の前の建物を観察する。
正面に建っているのは、大きな洋館。
至るところに豪華な装飾が施されている反面、どこか物々しい雰囲気がある。
幽霊でも出てきそうだ。
「……まさかここに用だなんて、ね」
バンちゃんは半分呆れ、半分不敵に嘲笑う。
「中に入るつもりか?」
「うん。止めないでね」
即答したら、しん兄はあず兄と顔を見合わせる。
あず兄は肩をすくめ、フッと一笑した。
「ここまで来たんだ。止めるわけねぇよ」
さすが幼なじみ。
私の覚悟を、よーくわかってる。