絶対領域
ふらつく上半身を、せーちゃんが支える。
「姉ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫か!?」
せーちゃんのじゃない声が、頭上に降った。
つられて顔を上げる。
あ。
近くに、人がいる。
一人じゃない。数人いる。
今更になって気づいた。
息をしているのかしていないのか定かではない屍に似た人たちが衝撃的すぎて、周りの気配を認知する余裕はなかった。
せーちゃんより背の大きい人や、髪色がカラフルな人ばかり。
いつからいたんだろう。
初めから?
……まあ、今は関係ないか。
とりあえず立ち上がろうと、地面に手を添える。
ふと、指先に感触を覚えた。
反射的にそちらに目を向ける。
「え?」