絶対領域




「いいなー!俺にもあだ名つけてよ!」



便乗して、翠くんが物欲しそうに私を見つめてくる。


うっ。

またきらきらビームが……!



「んんんんっ!!!」

「どーどー」


せーちゃんという名の暴れ馬をバンちゃんに任せきりなことが、申し訳なさすぎる。



「……このガキ、萌奈に目をつけやがって……っ」



あ、ここにも、暴れ馬候補生がいた。


いい加減、肩を抱くのやめてくれないかな、あず兄。

そろそろ苦しいよ。




「あだ名、ねぇ……。『翠くん』じゃダメなの?」


「ダメ!そんなのただのくん付けじゃん!」


「じゃあ……『みどりん』?」


「そ、それはちょっと……か、可愛すぎない?」



急に照れないでよ。

まったく、わがままだなぁ。



「『翠くん』を略して『みーくん』は?どう?」


「それっ!それがいい!」



こんな即席のあだ名をそこまで喜んでくれると、こっちまで嬉しくなる。


不良らしくないピュアさが、可愛いんだよね。

せーちゃんのシスコンモードに似てる。



< 79 / 627 >

この作品をシェア

pagetop