絶対領域
「いいなー!俺にもあだ名つけてよ!」
便乗して、翠くんが物欲しそうに私を見つめてくる。
うっ。
またきらきらビームが……!
「んんんんっ!!!」
「どーどー」
せーちゃんという名の暴れ馬をバンちゃんに任せきりなことが、申し訳なさすぎる。
「……このガキ、萌奈に目をつけやがって……っ」
あ、ここにも、暴れ馬候補生がいた。
いい加減、肩を抱くのやめてくれないかな、あず兄。
そろそろ苦しいよ。
「あだ名、ねぇ……。『翠くん』じゃダメなの?」
「ダメ!そんなのただのくん付けじゃん!」
「じゃあ……『みどりん』?」
「そ、それはちょっと……か、可愛すぎない?」
急に照れないでよ。
まったく、わがままだなぁ。
「『翠くん』を略して『みーくん』は?どう?」
「それっ!それがいい!」
こんな即席のあだ名をそこまで喜んでくれると、こっちまで嬉しくなる。
不良らしくないピュアさが、可愛いんだよね。
せーちゃんのシスコンモードに似てる。