絶対領域
誰といても、オリの無機質な雰囲気は、彩りを変えはしない。
ミステリアスで、冷ややかで。
それでいて魅惑的で。
とても、息苦しそう。
――オリ、あなたはまだ、逃げているの?
「お、俺を、無視すんなあああ!!」
白薔薇学園トークを、一刀両断された。
しん、と静まり返る。
叫び声の持ち主は、言わずもがな、人見知りの暴れ馬くんだ。
オリにげんこつされた頭を痛そうにさすってる彼は、未だにみーくんの背に隠れている。
そろそろ出てきてもいいのに。
そんなに神亀が怖い?
「お、俺の名前は、蘭次郎【ランジロウ】。中学2年。そ、双雷の幹部だ、こら!」
両サイドを刈り上げた、アッシュグリーン色の髪。
オールバックのヘアスタイルは、右に4つ、左に3つも身につけたピアスを強調しているようだ。
敵意を吠える時に覗く八重歯から、思わず犬の遠吠えを連想してしまう。
「苗字は教えてくれねぇの?」
「ふんっ、知りたければ当ててみやがれ!」
「いや、無理難題すぎ」
みーくんの後ろだと、バンちゃんを相手にしても堂々と振る舞えるらしい。