絶対領域




ランちゃんが猛犬なら、ゆかりんは産まれたばかりの子犬。

そんなイメージだ。



双雷の幹部以上の面々って、こんなに個性豊かなんだ。


……あ、それは神亀も同じか。





「さ、自己紹介も済んだし、帰るぞ」


「え!?」



凝りもせず再び私の肩に腕を回してきたあず兄が、突然そう言って、来た道を引き戻し出す。



「い、いやいや、自己紹介が終わっただけじゃん!特に何もしてないじゃん!普通ここから何か会話を……」


「必要ねぇ!」


「そうだよ、姉ちゃん!赤だか青だか知らないけど、あいつに近づいたらダメだ!」



せーちゃん、せめて名前を覚えてあげて。

赤でも青でもなく、翠だから。



「姉ちゃんにつく虫は、俺が全部撲滅してやる」


「やめて、物騒な言い方しないで」


「姉ちゃんには俺たちがいればいいんだ!」



弟に愛されて嬉しいよ?幸せだよ?

でもね?


もっと視野を広げて。


私にも交流させて。




< 87 / 627 >

この作品をシェア

pagetop