絶対領域





「なんで気分で贈るんだよ!贈るなよ!自分で持っとけよ!」


「俺には、自分のために好き好んでオルゴールを買うような、乙女チックな趣味はねぇよ!」


「じゃあなんでオルゴールにしたんだよ!もっと他にいいのがあっただろ!?」


「そ、それは、萌奈が気に入ってたからだ!!」


「ほーら、やっぱり点数稼ぎなんじゃん!あずき兄さんの嘘つき!」




……この口喧嘩は、いつまで続くんだろう。


ひとつ物申すとすれば、私はあの天使と悪魔のオルゴールを気に入ったなんて言った覚えがない、ということだけだ。




というか、そんな大声で言い争っていていいの?


こんなうるさくしていたら、すぐ居場所がバレちゃうよ。



例えば。



「おうおう、最近の新人は元気がいいねぇ」



悪い敵の不良たちに、とか。



前後にそれぞれ10人ずつ、ガラの悪い連中に挟み込まれた。


少し前から察知していたが、既に左右をがっちり味方に挟み込まれているせいで、何もできなかった。


知らせようにも、2人はぎゃーぎゃー言ってるし。




結果、こうなっちゃったわけ。




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