絶対領域
ガラの悪い連中に聞き取られないよう、顔を近づけ、声を潜める。
「私が囮になってる間に、仲間を連れてきて」
これはあくまで保険だ。
私だけじゃ片付けられなかった場合、皆に助けてもらう。
そうならないよう、私も頑張らなければ。
私の思惑を伝えても、2人はなかなか決断できずにいた。
責任も、葛藤も、感じなくていい。
2人には、もっと楽になってもらいたいんだよ。
「不安そうな顔、しないでよ」
「だ、だって、俺たちがここを離れたら、姉ちゃんはあいつらに……」
「大丈夫だってば」
2人を安心させたくて、自信満々に微笑む。
右手と左手から、私の想いが直接流れ込んでいけばいいのにね。
「勝算しかないから」