私、田口まりなは先生と不倫しています。
よりによってきょうが人生最後の生物の授業があった。


先生がチャイムと同時に入ってくる。


そして、最後の授業がスタートした。


先生がこくばんに書く後姿を見ながらふとこんな風に思った。



やっぱり、奥さんのほうがよくなったのかな?




だから、私としてきたことを記憶から消すためにあんな避けたりするのかな?

だったら、先生との時間はもう私の記憶からも消したほうがいいのかな?

忘れるってどうやってしたら忘れることができるんだろう。

様々なことを思い胸が苦しくなった。



思い返せば、先生と過ごした2か月間本当に楽しくて幸せだった。


先生と抜け出したことも


放課後にした公園も

年末に秘密で会ったことも


そして、私の初めてが先生になったということも


最初に約束された。



“のめりこむなよ。こんなことに”




その約束を果たすことができなかった。


私は50歳という30も離れている先生に恋をした。



好きになってしまった。



知らない間に愛していた。



ぞっこんだった。





禁断で刺激的だった。



知らない間に涙がこぼれていた。




我に返り、先生や周りにばれないように下を向きながらそっと涙をぬぐった。





先生のことは正直忘れることはできない。




でも、忘れよう。




ありがとう。
















そして、人生最後のテストが始まった。









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