マイ・フェア・ダーリン
2区 バック・トゥ・ザ・四十一分前



世の中どんなに技術やシステムが発達していても、現場では常にアナログ作業が伴うものだ。
うちの電子レンジも「600Wで3分」という指示に従って冷凍パスタをチンしたのに、熔けた鉄か? ってくらい熱いときと、永久凍土を抱えているときがある。
結局こっちサイドで十秒単位の調整が必要になって、「あと……20秒、いや30秒だな」と人間の感覚頼みだ。
わかる、わかるよ。やる気にムラはあるもんね、とそっと電子レンジの肩(角?)を撫でる日々です。

我が社もWMSという倉庫管理システムは導入されていて、入庫から出庫まで検品やピッキング、管理などが非常にやりやすくなっている。
ハンディターミナルによって、間違った荷物をピッキングした場合ブザーが鳴って、ミスを防ぐことにも役立っている。
が、外部と接点の多い事務方の私たちは、いまだに手作業が多い。

「今日多いな、FAX……」

依頼内容を打ち込むにも、FAXや電話ではコピー&ペーストもできない。
印刷が悪い上に達筆過ぎる文字の打ち込みに、15Wしかない私のやる気は今にも消えそうになっている。

つぶれて見えない文字に頭を捻っていると、遅番の社員が続々と出勤してきた。
一番アナログなのは、社内のシステムかもしれない。
社員、アルバイト、合わせるとかなりの数になるのに、いまだにタイムカード!
しかも機械にカードを通して時間をジジジと印刷するタイプなのだ。
月末の勤怠管理は面倒臭いだろうと心配になるけど、それは総務の仕事なので、まあいいか、と思う。
きっと上層部も、まあいいか、と思ってるんだろう。
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