あやかし神社へようお参りです。
「麻、おい麻!」
その夜。
聞きなじみのある声と、肩を強くゆすられる感覚に目が覚めた。ぼんやりとした視界の先で、赤い何かが動いている。
次第にクリアになっていく頭が、それをしっかりと捉えた。
「て、天狗……!?」
布団を跳ね飛ばして起き上がれば、天狗面を付けた少女がそこに胡坐をかいていた。
「お前、その反応全く変わらないな」
呆れたように息を吐き、天狗面を顔の横にずらす。よく知っている顔が現れ、私は目を瞬かせた。
「あ、葵? どうしてここに」
「三門さんに入れてもらった。なんか聞きたいことがあるらしくて、呼ばれたんだ」
そういって立ち上がった葵は私から布団をはぎ取った。冷たい空気が肌を撫で、ぶわりと鳥肌が立つ。