あやかし神社へようお参りです。


 そう言った途端、子どもみたいに目を輝かせた葵が「私もだ!」と、私の手を握りぶんぶんと上下に振る。

 すっかり機嫌が直ったのか鼻歌混じりに「麻は私の隣だぞ」と笑い、私の手を引き小上がりに座る。


 ババが目じりをしわくちゃにして「随分と仲良くなったんだねえ」と、嬉しそうに微笑んだ。


 パンパン、と手を打った三門さんに妖たちは会話をやめて振りかえる。


 「みんな、忙しい時間に集まってくれてありがとう。話があって、集まってもらったんだ。詳しくは彼から」


 三門さんがケヤキに向かってひとつ頷いた。皆の視線がケヤキへと移る。

 姿勢を正したケヤキはひとつ頭を下げてから口を開いた。


 「隣町に住む木霊のケヤキと申します」

< 278 / 465 >

この作品をシェア

pagetop