あやかし神社へようお参りです。


 どうやら笑えないのは私だけらしい。

 だって何百年も生きているなんて聞かされて笑って済ませるなんて、普通の“人”ならできないはずだ。

 人間と違って妖が長寿だということは知っていたけれど、何百年と生きるなんてやっぱり想像ができない。


 「それで、話と言うのは一体何だい、ケヤキの坊や」


 一呼吸置いたババがそう尋ねれば、穏やかに微笑んでいたケヤキの表情が真剣なものに変わる。

 その雰囲気を感じ取ったのか、妖たちは誰とはなしに口を閉じる。


 「魑魅を探しています」


 一瞬のざわめき、そして息を飲む音。

 暫く続いた沈黙は「ねえ母さん、スダマってなにー?」という無邪気な小鬼の声により破られる。

 母親に「お黙り!」と容赦なく頭を叩かれて、拗ねた顔で私のもとへ走り寄ってくる。

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