あやかし神社へようお参りです。


 目尻に涙をためて精いっぱい不服そうな顔を浮かべる小鬼は「巫女さま抱っこして」と私に両腕を差し出す。

 可愛いなあ、と頬を緩めながら抱き上げれば、その子の母親から謝られた。

 小さく首を振ってから、またケヤキに視線を戻す。


 「私ひとりで探し出すことは困難な状況にあり、魑魅について何か知っていることがあれば、どのような些細なことでもいいので私に教えてほしいのです」


 畳に手を付き、深々と頭を下げたケヤキ。

 妖たちは何とも言えないような表情でお互いに視線を合わせる。


 「……一応聞いておくんだけれど、ケヤキの坊やが言う“スダマ”は、まともな生き物に悪影響を与える瘴気を出すあの魑魅だね」


 重々しく頷いたケヤキに、ババが苦い顔で額を押さえる。

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