悪いオトコ
きっと借りておきながら返すことはなくて、だんだんに借金がかさんでいく手口なんだとばかり思っていた。
それなら、こちらも別れやすくなるはずと踏んでいたのに、
彼は、本当に次回にはお金を返してきた。
そうなると、本気で意味がわからなくなってくる。
「…じゃあ、今度は五千円貸してもらってもいい?」
それ以上の食事代を払っておいて、そう言ってくる彼の心理がまるで読めなかった。
毎回雰囲気のいいお店に連れて行って、いくら私の分は出すからと言っても、
「女の子に出させるのは性に合わないから」
と譲らず、「俺の度量だから、これくらいは見栄張らせてよ」と押し切られていた。
なのに、お金を貸すなんてと、
「……こんなことして、どうするんですか?」
訊いた私に、
「別に、どうも…」
と、彼は答えた。
「前にも言ったように、会うためのただの口実なんだから、どうしようとも思ってないよ」
彼の言葉に「だけど……」と言いかけて、一度は口をつぐんで、
「だけど、普通は借りても返さなかったりとか……」
どういうつもりなのか確かめてみたくなった。
それなら、こちらも別れやすくなるはずと踏んでいたのに、
彼は、本当に次回にはお金を返してきた。
そうなると、本気で意味がわからなくなってくる。
「…じゃあ、今度は五千円貸してもらってもいい?」
それ以上の食事代を払っておいて、そう言ってくる彼の心理がまるで読めなかった。
毎回雰囲気のいいお店に連れて行って、いくら私の分は出すからと言っても、
「女の子に出させるのは性に合わないから」
と譲らず、「俺の度量だから、これくらいは見栄張らせてよ」と押し切られていた。
なのに、お金を貸すなんてと、
「……こんなことして、どうするんですか?」
訊いた私に、
「別に、どうも…」
と、彼は答えた。
「前にも言ったように、会うためのただの口実なんだから、どうしようとも思ってないよ」
彼の言葉に「だけど……」と言いかけて、一度は口をつぐんで、
「だけど、普通は借りても返さなかったりとか……」
どういうつもりなのか確かめてみたくなった。