悪いオトコ
「……どうしてほしい?」

ベッドの上で唐突に訊かれて、戸惑いが浮かぶ。

その表情を上から見下して、

「優しくしてほしいのなら、そうしてあげる。何も言わなければ、俺の思うままにするけどいい?」

チュッとわざと音を立てて首筋に口づける。

「……好きにしてくれていいから」

優しくしてほしいなんてこの男に言ったところで、どうせたてまえで抱くしかないんだろうと思った。

だったら本気で彼の思うままに、どうにでも好きにしてくれて構わなかった。

「……そう? いいね…そういうの」

晒された肌に柔らかく唇が触れる。

わざわざ確認した時点で優しくするはずもないと思ってたのに、彼が素肌をあばいていく手つきは優しく、労りすら感じられるようだった。

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