悪いオトコ
「……そんなこと、最初から知ってる!」

叫ぶように叩きつけた言葉に、

「…えっ?」

と、彼がわずかに動揺を露わにする。

「……知らないとでも思ってたの? 」

言いつのり、

「あなたが嘘だらけなことくらい、私だってぜーんぶ知ってたから!」

畳みかけると、

「……まいったな」

彼は間をあけて、一言口にした。

「バレてたんだ……巧く立ち回ってたはずだったんだけど」

歪んだ苦笑を浮かべる顔つきに、

「あなたが悪いオトコだなんてこと、前から気づいてたもの!」

感情にまかせて言葉をぶつけると、

「そっか…悪い、オトコ…ね」

彼は意外にもどこか物憂げな表情を見せた。

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