悪いオトコ
4
……こんな付き合いには、なんの意味もない気がした。

いくら彼が魅惑的だろうと、もう自分から離れなければならないのかもしれなかった。

それでもここで別れを口にしてしまえば、二度と会えなくなると思うと、なかなか踏ん切りもつけられなくて、

いっそのこと、こっぴどく振ってくれればいいのにと、

「……そんなの、詐欺といっしょじゃない」

彼の方から別れの言葉を引き出そうとして、さらに言い詰めると、

「……詐欺ねぇ」

と、口元に薄い笑いを浮かべた。

「だったら、俺のどのへんが詐欺なの?」

「…えっ?」

尋ね返されて、言葉を呑む。

そう言えば、彼は詐欺まがいになるようなことは何もしていなかった……。


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