悪いオトコ

「どう？ 俺に興味持ってくれた？」

言われて、ワイングラス越しにその整った顔を透かし見た。

「…はい、まぁ…」

恐いくらいにも整然と自信に満ちた容貌に、なんでこの人は自分を選んだんだろうとぼんやり思った。

「……もしかして、どうして君だったのかって感じてる？」

「…あっ……」

あっさりと胸の内を読まれたことに言葉を失くして、手にしたグラスからワインをごくりと飲んだ。

「……言ったよね。君が、一番可愛いかったって……」

言いながら、すっとテーブルの向かいから伸ばされた手が、

「……そんなに、緊張しなくていいから。紗耶ちゃん」

私の手に重ね合わされた。