悪いオトコ
「どうして？ 君は、俺のことなんて好きじゃなくて、別れたいんでしょ？」

畳みかけるようにも訊かれて、

「……違う」

と、口をつぐんだ。

「違うの？ だったら、はっきりしてくれないかな？」

冷たく突き放すようにも聞こえるセリフに、涙が滲んできそうにもなる。

「なんで、泣くかな？ 俺は、君の思い通りにしてあげようとしてるだけなのに」

呆れたように見るのに、

「……だったら、」

と、キッと見つめた。

「だったら、あなたは本当に別れたいと思ってるの？」

「…それ、俺に聞く？」

私の問いかけに、彼がハァとため息をつく。

「……言ったよね？ 俺の言ってることは、ぜーんぶ嘘って。全部嘘なんだから、お互い恋を楽しめなくなれば、終わりでしょ？」

「……そんなの…答えになってない……」

ぼそりと呟いて、

「私が聞いてるのは、本気で別れるつもりなのかどうかよ」

溢れた涙をぐっと拭った。

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