悪いオトコ
「俺は、何度も伏線を張ってきてあげたのに……。君が逃げやすいように伏線を、」

不意に軽いキスをして、

「……なのに、逃げないし別れないとか、たちが悪いよね…」

ギュッと抱く腕に力を込めると、

「……俺を、本気にさせるとか」

顎を指先で持ち上げた。

「もっとよく、顔を見せて」

熱の籠ったような眼差しで見つめて、

「……君が俺から離れないのなら、俺も君から離れない」

唇を重ねた。

「……俺と続ける気があるの、恋愛」

「……うん」と、頷く。

「……変わってるよね、君って」

クッ…と可笑しそうにも笑って、

「……嫌いじゃないよ」

そう告げた。

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