悪いオトコ
「手繋ごうか」

店から出て歩きながら、ふと触れ合った手がさりげなく繋がれる。

ためらいもなく繋がれたお互いの手に視線を落として、

(どうして、避けられないんだろう……)

と、翻弄されてばかりなことを苦く口の中で噛み締めた。

「あったかいよね、君の手」

握る手にギュッと力が込められて、

「……一樹さんの手も、温かいです」

思わず、答えた。

クールな容姿からは冷たさしか感じ取れないのに、なぜだか手には穏やかな温かさを感じられるのが不思議にも思えた。

「そう? よかった…じゃあ、俺たち相性がいいってことだよね」

「……相性?」

「うん、肌が合うってこと」

聞き返した私にそう言って、彼はニッと笑った。

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