平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
プロローグ
「愛する息子、ディオン。どうかあなたは権力を持とうなんて思わないで」
皇妃、アラーラ・ベルタッジアはたったひとりの愛息子の死を恐れ、いつも彼に言い聞かせていた。
力をつければ、その先が欲しくなる。
その悲劇を、身をもって知っているアラーラ皇妃は、ディオンに物心がつくとすぐに、皇帝争いに関心を持たないように育てた。
母の教えの通り、第三皇子であるディオンは政に興味はなく、争いごとにも無関心だった。
ベルタッジア国には五人の皇子がいる。皇宮で暮らすことが出来るのは成人になる十五歳まで。それからは領土を与えられ、領主となりそこを統治する。
ディオン・ベルタッジアもその土地の名前が入り、ディオン・アシュアン・ベルタッジアとなり、皇都から西に位置するアシュアン領をもらった。
十五歳からアシュアン領主となったディオンだが、母の教えの通り、政には無関心で、詩や楽器ばかりを弾く日々を過ごしている。
二十歳になったディオンには、まだ妃はいない。
そんなディオンを補佐しているのは、イアニスという男。年はディオンより十歳上で、アラーラが信頼している家臣の息子である。彼の祖母はディオンの乳母であった。
アシュアン領は山と海に囲まれた町で、他国からの侵略者も後を絶たないが、イアニスのおかげで悪事を働く輩は警備兵により排除されている。
皇妃、アラーラ・ベルタッジアはたったひとりの愛息子の死を恐れ、いつも彼に言い聞かせていた。
力をつければ、その先が欲しくなる。
その悲劇を、身をもって知っているアラーラ皇妃は、ディオンに物心がつくとすぐに、皇帝争いに関心を持たないように育てた。
母の教えの通り、第三皇子であるディオンは政に興味はなく、争いごとにも無関心だった。
ベルタッジア国には五人の皇子がいる。皇宮で暮らすことが出来るのは成人になる十五歳まで。それからは領土を与えられ、領主となりそこを統治する。
ディオン・ベルタッジアもその土地の名前が入り、ディオン・アシュアン・ベルタッジアとなり、皇都から西に位置するアシュアン領をもらった。
十五歳からアシュアン領主となったディオンだが、母の教えの通り、政には無関心で、詩や楽器ばかりを弾く日々を過ごしている。
二十歳になったディオンには、まだ妃はいない。
そんなディオンを補佐しているのは、イアニスという男。年はディオンより十歳上で、アラーラが信頼している家臣の息子である。彼の祖母はディオンの乳母であった。
アシュアン領は山と海に囲まれた町で、他国からの侵略者も後を絶たないが、イアニスのおかげで悪事を働く輩は警備兵により排除されている。
< 1 / 236 >