平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
第四章
ふたりは濡れながら馬に乗った。桜子は衣装を絞ったとはいえ、びしょ濡れ状態。塩でベタベタしている。
(ディオンさまも不快感いっぱいなんだろうな……)
桜子は、後ろから抱きかかえるようにして手綱を持つディオンを振り返る。
「どうした?」
彼女の懸念に反して、ディオンは楽しそうな顔で桜子に問いかける。
「びしょ濡れで気持ち悪いですよね? ごめんなさい……」
自分の身体が生臭い気もする桜子は、顔を顰めた。
「そなたが気にすることはない。あんなに遊んだのは初めてだ。とても楽しかった」
濡れた服は着心地が悪いが、ディオンは上機嫌だった。
「サクラといると、いつもと変わらない景色も違うように見える。人生ってこんなに楽しかったんだと、今日知った」
「ディオンさま……」
複雑な環境という言葉では足りないほどの、壮絶な年月を送っていたディオンだ。桜子が彼の人生を理解できるのはまだまだ先だが、海で遊ぶのをこれ以上ないほど楽しんでくれたディオンに胸が痛む。
「サクラ、気にせずにそなたがやりたいことをやりなさい。そなたが笑ってくれれば私は嬉しい」
ディオンは馬を走らせながら、身を屈めて桜子の頬にキスを落とした。
(ディオンさまも不快感いっぱいなんだろうな……)
桜子は、後ろから抱きかかえるようにして手綱を持つディオンを振り返る。
「どうした?」
彼女の懸念に反して、ディオンは楽しそうな顔で桜子に問いかける。
「びしょ濡れで気持ち悪いですよね? ごめんなさい……」
自分の身体が生臭い気もする桜子は、顔を顰めた。
「そなたが気にすることはない。あんなに遊んだのは初めてだ。とても楽しかった」
濡れた服は着心地が悪いが、ディオンは上機嫌だった。
「サクラといると、いつもと変わらない景色も違うように見える。人生ってこんなに楽しかったんだと、今日知った」
「ディオンさま……」
複雑な環境という言葉では足りないほどの、壮絶な年月を送っていたディオンだ。桜子が彼の人生を理解できるのはまだまだ先だが、海で遊ぶのをこれ以上ないほど楽しんでくれたディオンに胸が痛む。
「サクラ、気にせずにそなたがやりたいことをやりなさい。そなたが笑ってくれれば私は嬉しい」
ディオンは馬を走らせながら、身を屈めて桜子の頬にキスを落とした。