平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
「もう暗くなってきましたね。そろそろ殿下のところへ行かれてはいかがですか?」
「ダフネ姫と一緒では?」
後宮は宮殿の奥まった場所にあるため、ダフネ姫一行が帰ったことを知らない桜子だ。
「すでにお帰りになっておりますよ。数回、ダフネ姫がいらしたことはありますが、お泊まりになったことはありません」
「そうなんだ……」
(でも、ディオンさまがダフネ姫と結婚したら、私は後宮にいられない)
ディオンと心を通わせた桜子だが、そう思うと、元の世界に帰れないのなら町で自立することを考えなくてはならない。
(ダフネ姫は私の存在が嫌だろうし……)
この世界では皇族は何人でも娶れることを知らない桜子は、この先のことを考えると深いため息が出た。
いつもの食事をするところは、昨晩侵入者が処分された場所だ。それを考えると、そこで食事をするのも食欲が湧かなくなりそうだ。
とりあえず行ってみようと椅子から立ち上がったとき、ディオンが姿を見せた。
「ディオンさま」
深い藍色に、銀の刺繍が施された長衣を身につけており、いつもながらに麗しい姿である。
「サクラ、迎えに来た」
ディオンは桜子の肩に手を置き、額にそっと口づける。今までそういった愛情表現をしなかったため、そばで目にしたザイダはうっとりとふたりを見入る。
「ダフネ姫と一緒では?」
後宮は宮殿の奥まった場所にあるため、ダフネ姫一行が帰ったことを知らない桜子だ。
「すでにお帰りになっておりますよ。数回、ダフネ姫がいらしたことはありますが、お泊まりになったことはありません」
「そうなんだ……」
(でも、ディオンさまがダフネ姫と結婚したら、私は後宮にいられない)
ディオンと心を通わせた桜子だが、そう思うと、元の世界に帰れないのなら町で自立することを考えなくてはならない。
(ダフネ姫は私の存在が嫌だろうし……)
この世界では皇族は何人でも娶れることを知らない桜子は、この先のことを考えると深いため息が出た。
いつもの食事をするところは、昨晩侵入者が処分された場所だ。それを考えると、そこで食事をするのも食欲が湧かなくなりそうだ。
とりあえず行ってみようと椅子から立ち上がったとき、ディオンが姿を見せた。
「ディオンさま」
深い藍色に、銀の刺繍が施された長衣を身につけており、いつもながらに麗しい姿である。
「サクラ、迎えに来た」
ディオンは桜子の肩に手を置き、額にそっと口づける。今までそういった愛情表現をしなかったため、そばで目にしたザイダはうっとりとふたりを見入る。