平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
「行こう。昼食を抜いたんだ。腹が空いている」
「昼食を召し上がらなかったのですか? 身体を壊してしまいます。ちゃんと食べてください」
イヴァナ皇后の使者とダフネ姫のせいであることは承知していたが、それでも桜子は小さく咎めた。
今までの心労もあるだろう。食事を抜いて体調を崩したりしては大変だ。
「そなたに怒られるのはうれしいものだな。これからも、もっと小言を言ってもらわなくては」
ディオンはにっこりと笑みを浮かべる。
食事を抜いたと聞き、心配したが、ふざけるディオンはいつも通りで桜子は安堵する。それどころか、気持ちを明るくしようとしてくれているように思える。
「はい。私がちゃんとディオンさまのお食事を管理しますから、覚悟してくださいね」
本当にそれが叶うのかわからないが、桜子は口にしていた。
桜子が連れていかれた場所は、宮殿の二階の広さのある部屋だった。色彩豊かな透けるような布がたくさんある、今まで見た中で一番美しい部屋だ。
(ここは……?)
桜子はディオンに手を引かれ、部屋の中央へ進む。
「昨晩あんなことがあったあとだ。いつもの場所では気持ち悪いだろう? 今日は私の部屋に食事を用意させた」
アーチの向こうに、豪華な寝台が中央に鎮座しているのが桜子の目に映る。その瞬間、心臓がドキッと跳ねた。
(ここはディオンさまのプライベートな空間……)
室内のいいにおいは、いつもディオンから香ってくるものだ。
「昼食を召し上がらなかったのですか? 身体を壊してしまいます。ちゃんと食べてください」
イヴァナ皇后の使者とダフネ姫のせいであることは承知していたが、それでも桜子は小さく咎めた。
今までの心労もあるだろう。食事を抜いて体調を崩したりしては大変だ。
「そなたに怒られるのはうれしいものだな。これからも、もっと小言を言ってもらわなくては」
ディオンはにっこりと笑みを浮かべる。
食事を抜いたと聞き、心配したが、ふざけるディオンはいつも通りで桜子は安堵する。それどころか、気持ちを明るくしようとしてくれているように思える。
「はい。私がちゃんとディオンさまのお食事を管理しますから、覚悟してくださいね」
本当にそれが叶うのかわからないが、桜子は口にしていた。
桜子が連れていかれた場所は、宮殿の二階の広さのある部屋だった。色彩豊かな透けるような布がたくさんある、今まで見た中で一番美しい部屋だ。
(ここは……?)
桜子はディオンに手を引かれ、部屋の中央へ進む。
「昨晩あんなことがあったあとだ。いつもの場所では気持ち悪いだろう? 今日は私の部屋に食事を用意させた」
アーチの向こうに、豪華な寝台が中央に鎮座しているのが桜子の目に映る。その瞬間、心臓がドキッと跳ねた。
(ここはディオンさまのプライベートな空間……)
室内のいいにおいは、いつもディオンから香ってくるものだ。