平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
「はい。もちろんでございます。では失礼いたします」
医師は深くお辞儀をして、部屋を出ていった。
「ディオンさま、これくらいのことで心配しないでください。それと、ニコさんのせいではないので叱らないでくださいね」
「私が心配してはいけないのか?」
どこでディオンがヘソを曲げたのか、言い方に棘があることに桜子は気づく。
「も、もちろんありがたいことです」
ディオンに機嫌を直してもらおうと、にっこり微笑む。
「サクラ、そんな顔をしてもダメだ。先ほども言ったように、そなたを大事に想っている。武器を持って練習をすることを安易に考えていた。それは部屋に飾るだけにしておくように」
『それ』とは竹刀のことだ。今は壁に立てかけてある。
「飾っておくだけだなんて。もうっ! 横暴です!」
竹刀ではいざというときに役に立たないことがわかり、鍛錬用の剣で練習させてほしいと言おうと思っていた桜子だ。
「横暴で結構だ。そなたが大切なんだ」
「ディオンさまっ!」
「部屋でゆっくりしているように」
口元に笑みを浮かべたディオンは、桜子の額に口づけて出ていった。
扉が閉まり、ザイダがお茶を持ってきた。
「殿下はサクラさまを大事に想っていらっしゃるのですね。本当に素敵でございます」
桜子の気持ちをなだめようと、ザイダは口にしたのだった。
医師は深くお辞儀をして、部屋を出ていった。
「ディオンさま、これくらいのことで心配しないでください。それと、ニコさんのせいではないので叱らないでくださいね」
「私が心配してはいけないのか?」
どこでディオンがヘソを曲げたのか、言い方に棘があることに桜子は気づく。
「も、もちろんありがたいことです」
ディオンに機嫌を直してもらおうと、にっこり微笑む。
「サクラ、そんな顔をしてもダメだ。先ほども言ったように、そなたを大事に想っている。武器を持って練習をすることを安易に考えていた。それは部屋に飾るだけにしておくように」
『それ』とは竹刀のことだ。今は壁に立てかけてある。
「飾っておくだけだなんて。もうっ! 横暴です!」
竹刀ではいざというときに役に立たないことがわかり、鍛錬用の剣で練習させてほしいと言おうと思っていた桜子だ。
「横暴で結構だ。そなたが大切なんだ」
「ディオンさまっ!」
「部屋でゆっくりしているように」
口元に笑みを浮かべたディオンは、桜子の額に口づけて出ていった。
扉が閉まり、ザイダがお茶を持ってきた。
「殿下はサクラさまを大事に想っていらっしゃるのですね。本当に素敵でございます」
桜子の気持ちをなだめようと、ザイダは口にしたのだった。