平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
第六章
桜子はカリスタの寝台の横で、青白い顔で眠る姿を見守っていた。苦しそうではないのが幸いだ。
イヴァナ皇后への憎しみが、ふつふつと湧いてくる。腰の下の切られた箇所よりも、胸のほうが痛い。
カリスタの寝顔を見ていると、ここへやってきたときのことが思い出されてくる。洗婆として湯殿で出会い、最初に桜子の味方になってくれたことを考えると、胸が熱くなる。
「あのとき、カリスタが味方になってくれなかったら、どうなっていたかわからなかったの……ありがとう」
優しかったカリスタに、胸がシクシクと痛んできた。
とうとう桜子の涙腺は決壊して、涙が溢れ、頬を伝わっていく。
「カリスタ……がんばってね。また一緒にご飯を食べ……」
『一緒にご飯を食べたい』が、最後まで言えなかった。
桜子はおもむろに椅子から立ち上がり、カリスタの額と手の甲に口づけをする。
「傍にいてあげられなくて……ごめんなさい」
じりっと後ずさる桜子は、目の奥にカリスタの顔を焼きつけるように見てから、踵を返して部屋を出た。
「サクラさま?」
ザイダはちょうどカリスタの部屋へ行くところだった。
宮殿の廊下で桜子を見かけて声をかけたが、届かないようで、どんどん行ってしまう。
イヴァナ皇后への憎しみが、ふつふつと湧いてくる。腰の下の切られた箇所よりも、胸のほうが痛い。
カリスタの寝顔を見ていると、ここへやってきたときのことが思い出されてくる。洗婆として湯殿で出会い、最初に桜子の味方になってくれたことを考えると、胸が熱くなる。
「あのとき、カリスタが味方になってくれなかったら、どうなっていたかわからなかったの……ありがとう」
優しかったカリスタに、胸がシクシクと痛んできた。
とうとう桜子の涙腺は決壊して、涙が溢れ、頬を伝わっていく。
「カリスタ……がんばってね。また一緒にご飯を食べ……」
『一緒にご飯を食べたい』が、最後まで言えなかった。
桜子はおもむろに椅子から立ち上がり、カリスタの額と手の甲に口づけをする。
「傍にいてあげられなくて……ごめんなさい」
じりっと後ずさる桜子は、目の奥にカリスタの顔を焼きつけるように見てから、踵を返して部屋を出た。
「サクラさま?」
ザイダはちょうどカリスタの部屋へ行くところだった。
宮殿の廊下で桜子を見かけて声をかけたが、届かないようで、どんどん行ってしまう。