平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
「ディオンさまは優し過ぎます。絶対に帰さないと言えばいいのです」
この件ばかりは食い下がるイアニスに、ディオンはフッと笑みを浮かべる。
「残念ながら、私はサクラに嫌われたくないんだ」
頬にかかる金色の髪を耳にかけ、立ち上がった。
「少し休ませてもらう」
政務室を出ていく後ろ姿に、イアニスは深いため息を漏らした。
翌日、桜子はカリスタを見舞っていた。寝台の上で上体を起こしているカリスタの顔色は幾分よくなっており、胸を撫で下ろす。
「怪我は治ったのかい!?」
カリスタは桜子の剣の怪我をずっと心配していた。
「はい。もう平気です。それよりもカリスタ……よかった……」
ひと回り小さくなったようなカリスタに、桜子は目に涙を浮かべている。
「サクラ、心配をかけたねえ。もう大丈夫だよ。だって、そうだろ? お前さんと殿下の婚姻を見届けて、お子を腕に抱くまでは死ねないよ」
カリスタがそんなことを思っていたと知り、驚いた。
「そ、そんなのはまだまだです。もっともっと長生きしてもらわないとダメですよ」
そんなことが現実に出来たら、どんなに幸せだろうかと思う。
(ディオンさまに愛され、赤ちゃんを産んで……ずっと幸せな生活を……)
カリスタは皺のある顔を顰めさせる。
この件ばかりは食い下がるイアニスに、ディオンはフッと笑みを浮かべる。
「残念ながら、私はサクラに嫌われたくないんだ」
頬にかかる金色の髪を耳にかけ、立ち上がった。
「少し休ませてもらう」
政務室を出ていく後ろ姿に、イアニスは深いため息を漏らした。
翌日、桜子はカリスタを見舞っていた。寝台の上で上体を起こしているカリスタの顔色は幾分よくなっており、胸を撫で下ろす。
「怪我は治ったのかい!?」
カリスタは桜子の剣の怪我をずっと心配していた。
「はい。もう平気です。それよりもカリスタ……よかった……」
ひと回り小さくなったようなカリスタに、桜子は目に涙を浮かべている。
「サクラ、心配をかけたねえ。もう大丈夫だよ。だって、そうだろ? お前さんと殿下の婚姻を見届けて、お子を腕に抱くまでは死ねないよ」
カリスタがそんなことを思っていたと知り、驚いた。
「そ、そんなのはまだまだです。もっともっと長生きしてもらわないとダメですよ」
そんなことが現実に出来たら、どんなに幸せだろうかと思う。
(ディオンさまに愛され、赤ちゃんを産んで……ずっと幸せな生活を……)
カリスタは皺のある顔を顰めさせる。