平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
それから毎日、時間帯を変えて、倒れていた場所を訪れた。
イヴァナ皇后は今のところ、なにもしてきていなかったが、六日が経つ頃には、ディオンの元を去れと言われた期限まで残り一週間になっていた。
一週間もこの場所を訪れ続けても、まったくなにも起こらない。
(やっぱり帰ることは出来ないんだ……だとしたら、この国を去るしかない……)
幸い、剣も扱える。なんとかひとりで生きていける。
少し離れたところで、ディオンに見守られながら歩いている桜子は、心に決めた。
しかし、そう決めても胸は激しい痛みを覚えている。
ディオンと離れたくない。しかし、自分たちには未来がない。ディオンにイヴァナ皇后の計画を話してもどうすることも出来ない。相手はディオンより立場が上の皇妃なのだ。
「サクラ」
ディオンの声にハッとなり、振り返る。
「ディオンさま」
いつもはラウリかニコが連絡係であった。
「もう一週間が経った。おそらくサクラは、元の世界へ戻れないのだろう。いや、今は戻れないのかもしれない。いつかは……」
「……はい。もう諦めます。ディオンさま、付き合ってくださってありがとうございました」
桜子は笑みを浮かべて、お辞儀をした。
「私がダフネと結婚しても、宮殿にずっといてほしい」
桜子は心の底では、ディオンはダフネ姫と結婚はしないと思い込んでいた。
イヴァナ皇后は今のところ、なにもしてきていなかったが、六日が経つ頃には、ディオンの元を去れと言われた期限まで残り一週間になっていた。
一週間もこの場所を訪れ続けても、まったくなにも起こらない。
(やっぱり帰ることは出来ないんだ……だとしたら、この国を去るしかない……)
幸い、剣も扱える。なんとかひとりで生きていける。
少し離れたところで、ディオンに見守られながら歩いている桜子は、心に決めた。
しかし、そう決めても胸は激しい痛みを覚えている。
ディオンと離れたくない。しかし、自分たちには未来がない。ディオンにイヴァナ皇后の計画を話してもどうすることも出来ない。相手はディオンより立場が上の皇妃なのだ。
「サクラ」
ディオンの声にハッとなり、振り返る。
「ディオンさま」
いつもはラウリかニコが連絡係であった。
「もう一週間が経った。おそらくサクラは、元の世界へ戻れないのだろう。いや、今は戻れないのかもしれない。いつかは……」
「……はい。もう諦めます。ディオンさま、付き合ってくださってありがとうございました」
桜子は笑みを浮かべて、お辞儀をした。
「私がダフネと結婚しても、宮殿にずっといてほしい」
桜子は心の底では、ディオンはダフネ姫と結婚はしないと思い込んでいた。