平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
「知ったらショックを受けますね……ダフネ姫のことはディオンさまにお任せしたいと思います 。私が間に入っても嫌だと思うので」
桜子は一途にディオンが好きなダフネ姫に同情していた。
「では、私が一度皇都に戻るように話しておきます」
そう言ったイアニスは礼をして出ていった。
夕刻になり、ディオンが戻る途中だと早馬で知らせがあり、桜子は門に向かった。
青と白のタイルが美しい門は、上に上がることができ、アシュアンの町を見渡せる。そこで待っていれば、ディオンの馬に乗った麗しい姿が見られると、三階くらいの高さに上った。
鉄柵のある大きな窓に駆け寄る。初めて上ったが、教えられたとおり、アシュアンの町が見られて見晴らしがいい。高所恐怖症ではないから、ずっと眺めていられる。
あとから、ザイダが息を切らしながらやってきた。
「サクラさまっ。このような高いところは危ないです」
息を整えながら桜子に話しかけるザイダだ。桜子が振り返ると、ザイダは額から噴き出している汗を布で拭いている。
「ザイダは下にいていいのに……こっちへ来て。風が気持ちいいから」
桜子は隣に来るように手招きするが、ザイダは大きく首を左右に振る。
「い、いいえ。いいえ。足がすくんでしまいます」
「高所恐怖症なのね」
「なんでしょうか? その、高所恐怖症とは……?」
あまり高い建物がないこの世界に、『高所恐怖症』という言葉はないようである。
桜子は一途にディオンが好きなダフネ姫に同情していた。
「では、私が一度皇都に戻るように話しておきます」
そう言ったイアニスは礼をして出ていった。
夕刻になり、ディオンが戻る途中だと早馬で知らせがあり、桜子は門に向かった。
青と白のタイルが美しい門は、上に上がることができ、アシュアンの町を見渡せる。そこで待っていれば、ディオンの馬に乗った麗しい姿が見られると、三階くらいの高さに上った。
鉄柵のある大きな窓に駆け寄る。初めて上ったが、教えられたとおり、アシュアンの町が見られて見晴らしがいい。高所恐怖症ではないから、ずっと眺めていられる。
あとから、ザイダが息を切らしながらやってきた。
「サクラさまっ。このような高いところは危ないです」
息を整えながら桜子に話しかけるザイダだ。桜子が振り返ると、ザイダは額から噴き出している汗を布で拭いている。
「ザイダは下にいていいのに……こっちへ来て。風が気持ちいいから」
桜子は隣に来るように手招きするが、ザイダは大きく首を左右に振る。
「い、いいえ。いいえ。足がすくんでしまいます」
「高所恐怖症なのね」
「なんでしょうか? その、高所恐怖症とは……?」
あまり高い建物がないこの世界に、『高所恐怖症』という言葉はないようである。