平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
「高いところが怖いってこと。いいの。ディオンさまの姿が見えたら、すぐに下へ行くから待ってて?」
「で、では、下でお待ち申し上げておりますね。サクラさま、くれぐれも気をつけてくださいませ」
階段を上がって汗をかき、今度は怖さで冷や汗をかいているザイダが気の毒で、桜子は下りてもらった。
腰より低めの鉄柵を握り、涼しい風をいっぱい受けていると、遠くのほうに馬に乗っている集団が見えた。白馬に乗る男性の金色の髪が、神々しく輝いている。
「ディオンさまだわ!」
桜子は身を乗り出して、凛々しく白馬を駆けさせているディオンに見とれる。
ディオンのほうも、門の上から見ている桜子がわかるくらいの距離まで来た。
「ディオンさまーっ!」
手を振って声をかける桜子に、ディオンは気づいた。次の瞬間、驚愕の表情になる。
「サクラ! 危ないっ!」
ディオンは叫んだが、桜子はなにを言われたのかわからなかった。
――ドン!!
そのとき、桜子の背中が後ろから強い力で押された。
「きゃーあっ!」
背中を押され、前のめりになって鉄柵を乗り越える身体。桜子は無我夢中で鉄柵を片手で掴んだ。
必死な桜子の目に、悔しそうなダフネ姫が映る。
「落ちなさい! 落ちて死んじゃえばいいんだわ!」
ダフネ姫は、かろうじて鉄柵を握っている桜子の指を一本ずつ外そうとしている。
(落ちちゃう!)
それを目にしたディオンは青ざめた。
「で、では、下でお待ち申し上げておりますね。サクラさま、くれぐれも気をつけてくださいませ」
階段を上がって汗をかき、今度は怖さで冷や汗をかいているザイダが気の毒で、桜子は下りてもらった。
腰より低めの鉄柵を握り、涼しい風をいっぱい受けていると、遠くのほうに馬に乗っている集団が見えた。白馬に乗る男性の金色の髪が、神々しく輝いている。
「ディオンさまだわ!」
桜子は身を乗り出して、凛々しく白馬を駆けさせているディオンに見とれる。
ディオンのほうも、門の上から見ている桜子がわかるくらいの距離まで来た。
「ディオンさまーっ!」
手を振って声をかける桜子に、ディオンは気づいた。次の瞬間、驚愕の表情になる。
「サクラ! 危ないっ!」
ディオンは叫んだが、桜子はなにを言われたのかわからなかった。
――ドン!!
そのとき、桜子の背中が後ろから強い力で押された。
「きゃーあっ!」
背中を押され、前のめりになって鉄柵を乗り越える身体。桜子は無我夢中で鉄柵を片手で掴んだ。
必死な桜子の目に、悔しそうなダフネ姫が映る。
「落ちなさい! 落ちて死んじゃえばいいんだわ!」
ダフネ姫は、かろうじて鉄柵を握っている桜子の指を一本ずつ外そうとしている。
(落ちちゃう!)
それを目にしたディオンは青ざめた。