何かおさがしですか?
 
 週末だけでも涼子が泊まりに来るようにもなって、特に寂しいと感じることもなかった。
 欲を言えば年頃なのに彼氏どころか、男友達もろくにいないという事が唯一の不満点だろうか。
 勿論、高校時代には彼氏もいて、それなりに段階を踏んだ経験も済ませてきた。
 ただ、これまでの人生でいまひとつ自分が男性に受けない(モテないとは認めたくない)理由の一つを自己分析するならば、中学生の時に、急激に視力が低下してから眼鏡を掛けるようになって(今はコンタクトを常用している)俯き加減で歩く習慣が付いてしまったせいだろうか。
 
 私の視力が低下した原因は、暗がりで読書をしていたとか、長時間パソコンに向かっていたというような、眼を酷使した外部的要因ではなく、あるいは遺伝的なものでもないらしい。
 ある眼科の医師からは、精神的なストレスが要因で思春期にごく希に起きる一時的な視力の低下かも知れないと言われた。
 ただ、その時からすでに5、6年も経過しており、実際のところは、そのような心因性のものかどうかさえよく分からなくなっていた。
 
 一方、涼子は活発で明るくて行動的な性格な持ち主だけど、ずっと転校を繰り返してきたせいで、深く付き合った特定の友達が出来なかったらしい。
 それに妙に自己主張が強かったり、言動の節々がなんとなく帰国子女的な雰囲気も醸し出していて、周囲から誤解されやすく、好かれるか嫌われるかがはっきり分かれる生徒だった。
 そんな正反対で対照的な私と涼子が高校時代から不思議と仲良くやっているのも、お互いの協調性の無さが、逆に共鳴し共感し合っていたのかもしれない。
 
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