何かおさがしですか?
 
「あの写真は今より太ってたし、スッピンだし、眼鏡掛けてるし、髪はボサボサだったし」
 
 すると、私の言葉を遮り気味に涼子が言う。
 
「いいや、写真より理英の顔ばっかり見てたで」
 
「またまたあ」涼子の言葉は迂闊に信用出来ない。
 
「あれは完璧に気がある目付きやろ。向こうの一目惚れなんちゃう」
 
「えーっ、勘弁してよ。」 
「何でや? 結構いい男やったやん」
 
「うそぉ? 涼子はああいうタイプが趣味だっけ?」 
「そうや」
 
「前の彼氏とは全然違うタイプじゃん」
 
「ウチに特定のタイプは無いんよ」
 
「へぇ、それは初耳だあ」 
 特定のタイプが無いなんて、私が知る限りの涼子の男性遍歴からして絶対嘘だ。
 確か涼子の好みは筋肉隆々のガッチリタイプで猿顔の人なはずだ。
 
「ウチこそ『へぇ』やで、もろ理英のタイプやと思ったんやけどなあ」
 
「そうかなあ」
 
「理想が高すぎるんやない? 贅沢言っとったらいつまで経っても彼氏出来ねえべぇ」
 
「あんたに言われたくないよぉ」
 
 私は反撃のつもりで言った。
 
 いつも男性の好みに贅沢なのは涼子の方だもの。
 
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