OLが男子高校生を拾った話
さっきの子、本当に大丈夫かな?
家出、とか?
それにしてもどうして口を聞いてくれなかったんだろう? 話せないのかな?

「わっ!」

エレベーターに乗り込み、振り返ると
さっきの男の子が付いてきていた。

「ど、どうしたの!?」

何を聞いても黙ったまま。

とりあえずエレベーターから降りて、ロビーのソファに座った。

すると、男の子のお腹が鳴った。

「もしかして、お腹空いてるの?」

男の子は首を縦に振った。

「……わかった。何か作ってあげる」

もう一度エレベーターに乗り込んで、7階のボタンを押した。


「散らかってるけど気にしないでね」

男の子はペコリと軽く頭を下げて、脱いだ靴をきちんと揃えた。

礼儀はちゃんとしてるんだ。
無口だけど。

「適当に座ってて」


んー、何作ろうかな。

何食べたいか聞いても答えてくれないだろうし……オムライスでいっか。
たまに作っているから、それなりに自信はある。


「はい、おまたせ」

男の子の前にオムライスを置くと、ほんの一瞬だけ表情が明るくなった気がした。

手を合わせて「いただきます」とボソッと呟いた。

「どう? 美味しい?」

私の問いかけに彼は静かに頷いた。

「よかった」

胃袋も掴んだことだし、そろそろ話してくれるかな?
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