OLが男子高校生を拾った話
「……侑李ちゃん」

初めて名前を呼ばれた衝撃で、あんなに拒んでいたのに思わず顔を上げてしまった。

「やっとこっち向いてくれた!」

「い、今…名前、」

「侑李ちゃん」

もう一度名前を呼んで、私をそっと抱きしめた。

「紫苑、くん?」

「俺、侑李ちゃんのことが好きだよ。今の不思議な関係じゃなくて、侑李ちゃんの彼氏になりたい」

「……私、27歳だよ? 紫苑くんにはもっと素敵な人がいると思う」

「年齢差なんて関係ない。俺は侑李ちゃんが好き。この気持ちだけじゃ、ダメ?」

そんなこと言われたら……自分の気持ちに気づかないフリをしてきたのに、我慢できなくなるよ。

紫苑くんと一緒に暮らし始めてから、毎日が楽しくて……
いつの間にか、2人で過ごす時間がずっと続けばいいなって思うようになってた。

本当はずっと伝えたかったんだ。

「ダメじゃない。だって、私も…好きだから」

そう言って彼の背中に手を回した。

「ありがとう。侑李ちゃん」

夜の静寂の中に2人の鼓動だけが響いていた。
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