青と雲
ちょうど炊けたご飯をお茶碗に盛る。
たぶん、あの女優は小さい時から可愛い可愛い言われて育って自分が常に優位にいるからそれが当たり前とか思っていたのかもしれない。
反対に、芸人は周囲の笑いを進んで取ることで自分の立場を保ってきたのだと思う。
そうでもしないと、きっといじめられてしまうと本能的に察知していたのかもしれない。
わたしには無理だ。
「……いただきます」
1人きりの静かな夕食が始まる。
テレビを消すと、静寂に包まれるのが面白い。
わたしの咀嚼音以外、時折車が通るくらいで一切の音がしない。
ひとりでいることが好きだったな、と思う。
学校でのわたしは、とにかく疲れた。
1人では生きていけないとか、仲良くしなさいとか、休日には映画を見て遊ぶとか、本当に嫌だった。
遊び自体は楽しかった。
でも、誰かにいつも合わせていることに疲れていた。