青と雲
食べ終えると、食器を片付けて自分の部屋に入る。
そろそろお母さんが帰ってくる。
またわたしに怒りの矛先が向く。
大きくため息をつくと、わざとらしく空っぽな部屋に響く。
自分の部屋に入ると、やっと「家の中にいる」という感じがした。
机の上に積み上がった教科書、ペン、消しゴム、お気に入りのCD。
その中から携帯電話を取り出す。
電話帳をスクロールしていくけれど、まだ早いと理性が抑える。
早く夜遅くにならないかな。
本棚に目を滑らせるとまだ読んでいない本があることを思い出した。
それを抜き取ってベッドに寝そべって読む。
ドラマになっていたらしい本で、表紙が綺麗な絵だったから買った。
男の子のことを大好きだった女の子は転校したけれど、大学で再会してまた付き合うというようなあらすじだった。
どこにでもあるベタな話だけれど、ひとつひとつの言葉が計算し尽くされたようなクリアなもので気に入った。