青と雲



「似てる!なんか言いそうだよね、ヨリのお母さん」



「だろ。言ったよ、『勉強教えていたんだよ』って」



「勉強道具なんて出しもしなかったくせに」



幸せだな、と思う。



好きな人とこうやって話せることが。



「そういえば今日、父さんが帰ってきたよ」



「へえ、よかったね。

オーストラリアだっけ?」



「うん、単身赴任」



「いいなあ。うちなんか毎日顔合わせて喧嘩だよ」



「俺の方も絶対そうなると思う。

だからこれがベストな形なんだよ」



ヨリを相手にすると話が尽きない。



あれもこれもと話したくなってどうでもいいことまで話してしまう。



「ごめん、もう夜遅いから切るね」



「じゃあ、また」



「うん」



通話終了のボタンを押して切る。



楽しいのは事実だ。



だけど、だんだんわたしは話していて釣り合わないんじゃないかと思ってきてしまう。




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