青と雲



鏡の中には、ジャージを着たわたしと制服を着たヨリがいる。



「……だから何?」



精一杯の嫌味のつもりで聞いた。



「俺達は同じ高校に通う17歳だ」



「うん……」



「ソラは同じような生活ばかりしているから、表情にあまり変化がない」



「……」



「でも俺はこうやって立っているだけでも、少なくともお前よりは表情がある」



はっとして鏡を見つめる。



いつからこんなに表情に乏しくなっていたんだろう。



わたしは、自分で思っていたよりも笑っていなかった。



「もう、笑えると思う。

学校に来れば。

お前に何があったのかは知らねえけど、」



「何もないよ!

ヨリが思うようなことは、何もない!」



「じゃあなんでいつまでも学校に来ねえんだよ」



「出ていって!

わたしが学校に行けない理由なんてない!

ただ行きたくないから行かないだけ!

他にある?」



< 20 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop