青と雲
鏡の中には、ジャージを着たわたしと制服を着たヨリがいる。
「……だから何?」
精一杯の嫌味のつもりで聞いた。
「俺達は同じ高校に通う17歳だ」
「うん……」
「ソラは同じような生活ばかりしているから、表情にあまり変化がない」
「……」
「でも俺はこうやって立っているだけでも、少なくともお前よりは表情がある」
はっとして鏡を見つめる。
いつからこんなに表情に乏しくなっていたんだろう。
わたしは、自分で思っていたよりも笑っていなかった。
「もう、笑えると思う。
学校に来れば。
お前に何があったのかは知らねえけど、」
「何もないよ!
ヨリが思うようなことは、何もない!」
「じゃあなんでいつまでも学校に来ねえんだよ」
「出ていって!
わたしが学校に行けない理由なんてない!
ただ行きたくないから行かないだけ!
他にある?」