青と雲
問題なんてないのに、なんてよくも言えたと思う。
紺谷家は問題ばかりなのに。
何かある度に過剰に考えがちでヒステリックなお母さん。
お酒を飲むと記憶をなくして暴力を振るうお父さん。
不登校のわたし。
これのどこが問題ない、だ。
泣き続けるお母さんにも家庭のことを首を突っ込みたがる斉藤さんにも呆れてしまう。
こいつら、馬鹿じゃねえの。
何も言わずに部屋に戻ろうとすると、手を掴まれた。
「……何?」
「あんたがお母さんのことを馬鹿にしたり蔑むのは構わない。
でももうこれ以上、外に知られるような馬鹿な真似はしないで!」
「……馬鹿な真似って?」
「鏡を壊したり、学校に行かないこととか」
「……分かったよ、鏡だって壊さなきゃいいんでしょ。
学校だって行けばいいんでしょ。
ずっと外の目気にしていい子でいればいいんでしょ」