青と雲
どうしてこんなにヨリはいつもいつも優しいんだろう。
喧嘩の後だから余計にそう感じるのかもしれない。
もう付き合ってなんかいないのに、こんなに優しくしてもらって。
「……どうしたんだよ?」
口は悪いのに、心に響く。
「……なんでもない」
涙がぽろぽろと出てくる。
拭っても拭っても、静かに溢れ続ける。
「……泣いてんのか?」
なんで泣いているのか、自分でも分からない。
自分の幼さや無力さ、ヨリの優しさ、好きという捨てきれない気持ち。
当てはまるようでどれも違う。
もどかしい。
「……行きたいの……」
「は?どこに?」
「……っこ……」
「聞こえねえ」
「……学校っ……」
「分かっていたよ。
毎日あんなに俺の制服姿を見てんだから」
「え……」
図星で思わず声が出てしまう。
見られていたなんて。
気づかれていたなんて。
恥ずかしさで顔が熱くなる。