青と雲
急いで窓を開けると、冷たい風が入ってくる。
熱く火照った頬を心地よく冷やしてくれる。
「ソラ」
電話じゃない声が聞こえた。
横を見ると、ヨリがベランダに出ていた。
「顔真っ赤」
くすくす笑う顔が月に照らし出されていつも以上に端正に見せている。
涙は引っ込んでいた。
こんなに月が似合う人をわたしはヨリ以外に知らない。
「うるさい」
見とれていたことを悟られないようにわざと素っ気なく返す。
「見とれてたんだろ、俺のこと」
「何言ってんの」
「ソラ、分かりやすすぎ」
からからと笑う。
無邪気なようで大人っぽい、その笑顔にわたしは勝てない。
どんな気持ちでヨリが言っているかは分からないけれど、わたしはそういうヨリが好きで仕方がない。
「……明日はどうするの?」
「いつもみたいにするか?」
「そうだね、また明日」
「ん」