青と雲
「今週は『源氏物語』で敬語をやったんだ」
「へえ」
「で、その敬語がたくさんあってこの表を配られたんだけど」
「敬語ってこんなにあるんだ」
「やっていくうちに覚えるから大丈夫なんだけど、ここが大事だって」
「そうなんだ」
「特にこの文章が重要で……」
ヨリの教え方は上手でわかりやすい。
最初にわたしが勉強を教えてくれと頼んだ時、嫌な顔をするかと思っていたからこの状況は少し意外だった。
わたしに週末を費やしていては自分の勉強が出来ないんじゃないかと聞いた時、復習になるから助かると言っていたのを覚えている。
嘘を吐いている感じはしなかったから、余計に驚いてしまった。
「とりあえず、こんな感じだったからあとは自分で演習積んで勉強だな」
「やっぱりヨリの説明ってわかりやすいよ。
先生になったら?」
「嫌だよ、休みなさそうだし」