青と雲
「……で、ここに代入するんだけど、どういう式になる?」
「……」
「ソラ?」
「……え、あ、ごめん。……聞いてなかった」
ヨリの目に赤くなったわたしが映る。
「何考えてたんだよ」
「や、何も……」
「その割には顔赤い」
からかっているだけだ。
「いいから!これを代入するんでしょ」
「はい正解。
数学はこれで終わり。
次は世界史やる」
リズムよく勉強が進んでいく。
一週間かけてヨリが勉強したことを1日でやるのだからかなり大変だけれど、嫌いではない。
すぐに終わる科目は一時間もかからないし、数学だってかかってもせいぜい二時間だ。
お母さんはこのことを知らない。
毎週末、勉強会を開いていることを。
もしこのことを知ったら「年頃の男女が」とか何とか言うのだろう。
何も知らないくせにうるさく言うよな、と思う。