No border ~雨も月も…君との距離も~
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北陸新幹線。

この美しい 流線型には “ かがやき ” という 名前がよく 似合う。

どんな 別れを目の前にしてもその別れが輝く未来の始まりのように 感じさせてくれる。

ブルーとゴールドのラインは、決意と希望のライン。

私は 勝手にそう思うようにして、シンを見送りにホームに 立った。

ここは始発駅。

かがやきは 静かに止まって、その時を待っていた。

夜の空気に 変わり始めた湿った熱風を 避けるように……繋いだ手に力を込めて 身体を寄せた。

「 ねぇ。シン、これ…… 」

「 ん? 何? 」

「 勝手なことして……ごめんなさい。
この間、シンのお父さんから 預かったの。」

「 …………。」

シンは、私が差し出した封筒を じっと見つめる。

「 ……突き返して やったのに。」

「 うん。きっと そう言うと思って、なかなか 言い出せなくて……ごめん。」

私は シンの手首を持って 封筒を握らせる。

人がいる前で シンは コレを投げつけることはしない。

分かっていたから 握らせた。

「 要らねぇって……言ったのに。」

「 …ステキな人だと 思った。 シンのお父さん。」

「 ちげぇーよっ!」

「 ううん。 とっても素敵な人。」

「 ………………。」

「 子供の頃のシンと お母さんの写真……大切に持ち歩いてた。
財布に 入れて……。」

「 ………………。」

シンは、黙って視線を 落とす。
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