No border ~雨も月も…君との距離も~
滑るように走り出す かがやきは 静かに私とシンを離していく。

どうか……彼の夢が 叶いますように……

そう願いながら

どうか……私から シンを奪わないで……

と 祈る。

相反する想いが 私の中で 反響し合う。

ホームの隅っこで 一人。

我慢していた 涙が 一気に、溶け出した。



明日の あなたは、東京で目覚める。

明後日の あなたは、東京で歩き始める。

明明後日の あなたは、東京で新しい歌を 歌う。

その次の日は? そのまた次の日は?

私は きっと……来る日も来る日も、あなたを恋しく想う。

真夜中、夢の途中で目を覚まして…あなたの温もりを 探すでしょう。

あなたの荷物のない部屋に…私は、誰に「ただいま 」を言うのかな。

そんな毎日の越え方を 知らないよ……。

考えただけで 夏の夜に凍えそうになる。

そんな 私たちを 月は静かに 見守っていた。



数時間後。

シンのインスタに 東京の月が アップされた。

ビルとビルの間から……届く月明かり。

シンの目に 映った都会の空に輝く 月。


金沢 thanks!!
東京の月も 金沢の月も、同じです。
ずっと、一緒!!


「 シン君。大好きっ!私もずっと一緒!!」

「 シン君と、ずーと一緒。頑張ってください。」

「 ash!!上京ばんざーい。
東京に行っても 応援してまーーす♪ 」

復活させた コメント蘭に 今日という日は、助けられた。

そう。 言いたい事が いっぱい、素直にあった。

伝えたかった事が 全部、詰まってた。

頑張って……

大好き……

ずっと 一緒。

私の夢、……言えなかった。

シン……いつか、迎えに来て……。

きっと、私を 迎えに来て。


見上げた夜空に 涙の霞がかかる 月。

ただ ただ 綺麗で……

あなたと 同じくらいに、たった一つの かけがえのない存在。

たった 一つの……愛しい存在。


*・゚゚・*:.。・To be continued … :.。. .。.*




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