No border ~雨も月も…君との距離も~
「それにしても……鈴ちゃんを 尊敬するよ。
ちゃっかり タクちゃんみたいな可愛いし……優しそうだし……頭もいいし、ベースうまいし。
そんな 彼氏と安定の一周年。」

ついでに……ご実家、金持ちらしい。

「うらやましい……安定感。
男、見る目あるよね~。鈴ちゃんって……。」

「紗奈に 言ってなかったっけ?(笑)
私たちだって……始めは酔った勢いからだったからね。ライブの打ち上げの後…
そう。……うん、まぁ……(笑)」

「ええーーーーっ!!ホントにっ!
そんな……ファンの妄想みたいな展開、実際にあるようで 無いと思ってた。」

「私は、酔ってて ぐでんぐでんだったから……。起きたら、ホテルだし。 ビックリ!!ココどこって?!(笑)
さすがに……こっちから仕掛けないよ。タクは、10代だし。」

うっそーーーー! 人は見かけによらない。

子羊ボーイかと思いきやっ!!まさかの……
ティラノ……!!(怖)

しかも……4つも年上の女を その日に食い散らかすなんてーーーー!!

相当な……ダークだわぁ。

クリーンなグリーン……崩壊っ!

「ははっ(笑)
そもそも、テイクアウト得意なの…シンだって噂だし。しっかり 見張ってなよ。(笑)」

鈴ちゃんは、私の半べその顔を 指差して イタズラ笑いをしてみせる。

先行き……不安。(困)

恋愛って……そもそも、苦手なのに。
しんどいのに……。

「ねぇ。もう 楽屋……入っていい?」

出たっ!! 噂をすればっ!!ティラノサウルス!

渦中のシンが、ひょっこり現れる。

「アレ。(苦笑) 何? この感じ。」

思わず 睨み付けた 私に殺気を感じたらしく、
「…じゃあ~。後からでいいよ!」
なんて言って 扉を閉め直すシンに 鈴ちゃんがまたウケている。

触れてみないと……
抱かれてみないと……
わからないことだってある。

でも、こうやって不安になったり……声を聞いてドキドキしたり……毎日毎日、彼を好きになっていることに 気づいてしまう。

掃除用具入れになっている ロッカーに勢いよく 片付けたホウキが 跳ね返って頭に直撃する……。

“ 痛っ!!”っと思ったら 翔平君がホウキの持ち手を 支えてくれた。

「大丈夫だった?」

「ありがとう……。大丈夫っ!」

「 (笑) 」

翔平……神。

今から……クリーンの称号は、あなたに……と思ったけど、人は見かけによらない(笑)

「ナイス キャッチーっ!翔平~。」

タケル君が 傍で笑いながら……足元のバケツをひっくり返す。

「うそぉぉぉーーーー‼ 」

「笑ーーーーうそぉぉぉ。ぞうきん!ぞうきんっ!水っ!ヤバッ。」

「マジかよぉ~!(泣) スニーカー、びしょびしょやんかぁ~(涙)」

なんだろう……。やっぱり ashは魅力的で、
4人を 知れば知るほど ずっと見ていたいと思うようになってくる。
ファンが……音楽だけでなく、この小さな集団に夢中になる気持ちが よくわかる。

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